フルマラソン初心者が前日にやるべき準備|忘れ物を防ぐ最終確認

フルマラソン初心者が前日にやるべき準備 マラソン完走対策
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こんにちは、「マラソンへ挑戦!怪我なく走り続けるためのリカバリーガイド」のRUN蔵です。

普段は都内で働く30代の営業職サラリーマンとして、小学生のやんちゃな息子の育児と仕事に追われる毎日を過ごしています。そんなごく普通の市民ランナーである私が、なぜリカバリーや事前の準備にここまで徹底してこだわるようになったのか。そこには、私の人生観を根底からひっくり返した苦い原体験があります。

人生初のフルマラソン挑戦では専門的なトレーニングはもちろん、直前の食事管理や疲労を抜く調整、当日のペース配分、そして何より身体を労わるリカバリーの知識など、何ひとつ持たないままスタートラインに立ちました。

その結果、30km地点を過ぎた瞬間、両足の筋肉が激しく痙攣して完全にロック。脳が「前へ進め」と叫んでも、足は1ミリも持ち上がりません。周囲のランナーに次々と抜かれながら、涙を浮かべて足を引きずり、なんとか執念でゴールゲートをくぐりました。

しかし待っていたのは栄光ではなく満身創痍の身体。翌日からは階段を一段下りるだけで叫び声を上げるような激痛が1週間以上も続いたのです。

あのときの悔しさと情けない思いが私の探求心に火をつけました。根性論を完全に捨て去り、解剖学や栄養学、リカバリーの理論を学び直して辿り着いた結論があります。それは、「フルマラソンの勝敗と怪我の有無は、スタートを切る前日までの過ごし方で9割決まる」という真実です。

大会前日、あなたは今どんな気持ちで過ごしているでしょうか。「忘れ物はないか」「明日本当に走りきれるだろうか」と、心臓が高鳴って落ち着かないかもしれません。

そこで今回は、初マラソンで地獄を見た私自身の失敗とリカバリーの知見を詰め込み、初心者が前日にやるべき準備と最終確認をどこよりも詳しくまとめました。

  • 前日までに揃えておくべき必須装備と忘れ物防止チェックリスト
  • 前日の過ごし方とグリコーゲンを枯渇させない食事・水分戦略
  • 足の痙攣や擦れを防ぎ翌日の筋ダメージを半減させる身体ケア
  • 起床から整列まで焦らず万全でスタートを切る当日の逆算スケジュール

前日に揃えるべき必須アイテム

前日に揃えるべき必須アイテム

大会前日に最も避けるべき事態は、当日朝になって「あれがない」「どこにしまったかわからない」とパニックに陥ることです。

精神的な焦りは自律神経を乱し、余計なエネルギーを消費させてしまいます。前日の夕方までに、レースで身につけるもの、手荷物として預けるものを完全に仕分けして並べておきましょう。

受付票とナンバーカードの確認

何よりも先に確認すべきアイテムが、大会の参加引換証(受付票)や、事前に郵送されているナンバーカード(ゼッケン)と計測チップです。これらを忘れてしまうと、会場に到着しても出走すらできない最悪の事態になりかねません。

事前発送型の大会であれば、ナンバーカードを前日のうちにレース用ウェアの胸元(または指定された位置)へ安全ピンで確実に留めておきましょう。四隅をピンと張った状態で留めるのがコツです。生地がたるんでいると走っている最中に風でバタつき、擦れやストレスの原因になります。

計測チップがシューズの靴紐に取り付けるタイプの場合は、前夜のうちに実際に走るシューズへしっかりと固定しておくと当日朝の慌ただしさを完全にゼロにできます。

シューズとソックスの最終点検

当日の足元を支えるシューズとソックスは、完走を左右する最重要ギアです。まず大原則として、前日に新品のシューズをおろすことだけは絶対に避けてください。新品のシューズはアッパーやソールが硬く、足への馴染みが不十分なため、長距離を走ると高確率で激しい靴擦れや足底の痛みを引き起こします。

必ず練習で履き慣らし、自分の足の形に馴染んでいるクッション性と安定性の高いスタビリティモデルを選びましょう。初心者のうちは、片足280g〜350g程度でミッドソールがしっかり厚いモデルが、着地の衝撃から膝を守ってくれます。

ソックスについても、指同士の摩擦を物理的に防ぐランニング専用の5本指ソックスが最適です。かかとや母指球部分に破れや薄くなっている箇所がないか、前日のうちに裏返して繊維の状態まで目視でチェックしておきましょう。

当日のレースウェアと防寒対策

レース本番で着用するウェアは、吸汗速乾性に優れたポリエステルなどの化繊素材が基本です。綿100%のTシャツは絶対に着用してはいけません。綿は汗を大量に吸い込むと重くなり、冷たい風に晒されることで急激に体温を奪う「汗冷え」を引き起こし、低体温症や筋肉の硬直を招く原因になります。

また、スタート直前の待機時間は季節を問わず想像以上に冷え込みます。大規模大会ではスタートの30分以上前から指定ブロックに整列して待機しなければならず、動かずにじっとしていると筋肉が冷え切ってしまいます。

そこで必ず用意したいのが、スタート直前まで羽織れる使い捨てのレインポンチョや、100円ショップの雨カッパ、あるいは大きなゴミ袋に頭と腕の穴を開けた簡易防寒着です。スタート直後にコース脇の回収ボックスへ捨てられる防寒具を1枚用意しておくだけで、無駄なエネルギー消耗を劇的に防ぐことができます。

携帯する補給食とサプリメント

フルマラソンで42.195kmを走破するために必要な消費エネルギーは約2,500kcal〜3,000kcalに達します。しかし、人間の筋肉や肝臓に蓄えておける糖質(筋グリコーゲン)は、成人男性でも最大で約1,500kcal〜2,000kcal程度しかありません。

つまり、レース中の補給なしで走れば、30km手前で確実に体内のエネルギーが空っぽになる「ガス欠」を起こします。

私が初マラソンで30km地点で足が止まったのも、まさにこのグリコーゲン枯渇が主因でした。このエネルギーギャップを埋めるため、前日のうちに高エネルギー補給ジェルを4〜5個、ウエストポーチやランニングパンツのポケットに準備しておきましょう。

1個あたり100〜150kcalを摂取できる濃縮タイプのジェルを選び、さらに発汗で失われるナトリウムを補う塩分タブレットや足つり防止サプリメントを小分けにしてジッパー付き袋へ入れておくのがおすすめです。

前日持ち物チェックリスト

・ナンバーカード(ゼッケン)、安全ピン、計測チップ
・履き慣れたランニングシューズ、5本指ソックス
・速乾性ウェア、サポートタイツ、ランニングキャップ
・エネルギー補給ジェル(4〜5個)、塩分タブレット
・防寒用使い捨てポンチョ、スマートフォン、交通系ICカード・小銭

前日に済ませるべきコース確認

前日に済ませるべきコース確認

レース当日は、走ることだけに集中できる精神状態を作っておくことが大切です。コースの全体像や会場の配置を前日のうちに頭へインプットしておくと、不測の事態にも慌てず冷静に対処できるようになります。

高低差と関門閉鎖時間の把握

初心者が最も警戒すべきは、コースの高低差(アップダウン)と各地点に設けられた関門の閉鎖時間です。平坦に見えるコースでも、橋を渡る陸橋やバイパスの立体交差など、後半に地味な傾斜が連続することがあります。

上り坂では心肺に強い負荷がかかり、下り坂では着地衝撃が平地の数倍に跳ね上がるため、大腿四頭筋や膝関節へ深刻なダメージを与えてしまいます。

大会パンフレットや公式サイトの高低図を前日のうちに確認し、「何キロ地点に上り坂があるか」「ペースを落とすべきポイントはどこか」を把握しておきましょう。

また、制限時間が6時間〜7時間と長い大会であっても、途中の関門閉鎖時間は前半ほどタイトに設定されているケースが少なくありません。完走目標ペースから逆算し、各関門を通過する目標時刻を手首のリストバンドやメモ用紙に書いておくのも賢い自衛策です。

給水所とトイレの位置の確認

レース中の脱水症状やエネルギー切れ、そして予期せぬ腹痛を防ぐために、給水所と仮設トイレの設置ポイントは必ず事前に頭に入れておきましょう。多くの大会では、概ね2.5kmから5kmごとに給水所が配置されています。

初心者の陥りがちなミスとして、「喉が渇いてから給水所を探す」という行動があります。口の渇きを自覚した時点ですでに脱水は始まっており、血液の粘度が高まって筋肉への酸素供給が滞ってしまいます。

何キロ地点に給水所があり、そこでは水だけなのかスポーツドリンクも提供されるのかを前日に把握しておくことで、「次の給水所で必ず一口飲む」という計画的な水分補給が実行できます。また、コース上のどのあたりにトイレが多いかを知っておくだけでも、走行中の精神的なプレッシャーを大幅に和らげることができます。

前日の食事と水分補給の正解

前日の食事と水分補給の正解

前日に口にするものは、翌朝のあなたの走りを支えるガソリンそのものです。しかし、「スタミナをつけなければ」と焦って間違った食事をとってしまうと、胃腸障害や下痢、当日の激しい腹痛を引き起こす原因になります。消化器系に余計な負担をかけず、エネルギーを最大効率で充填するルールを徹底しましょう。

炭水化物を中心とした食事構成

マラソン前日の食事の基本は、筋肉中にグリコーゲンを満タンにするための「カーボローディング(高炭水化物食)」です。普段の食事よりも主食の割合を増やし、白米、うどん、パスタ、おもちなどを主軸に据えたメニューを心がけてください。

ただし、ここで重要なのは「全体の食事量をドカ食いするのではない」という点です。食べる総量を2倍や3倍に増やすのではなく、おかずの量を控えめにして、そのぶん炭水化物の比率を全体の7〜8割程度まで高めるのが正しいアプローチです。

消化に時間がかかる揚げ物や、脂身の多い肉類(カツ丼や天ぷらなど)は「ゲン担ぎ」であっても絶対に避けてください。胃の中に未消化の油が残ったままスタートすると、走行時の激しい振動によって吐き気や胸焼けを誘発してしまいます。

◆ワンポイントアドバイス

私の初マラソン前夜の最大の失敗は、「エネルギーをつけなきゃ!」とトンカツ定食と大盛りラーメンを平らげたことでした。

当日の朝、見事に胃もたれと胸焼けで目覚め、レース中盤からは胃がキリキリ痛んで給水すら喉を通らなくなってしまったのです。前夜は消化が抜群に良いうどんや白米、お雑煮などが一番の味方ですよ。

胃腸を守る避けるべき食材

大会前日は、どれほど健康的とされる食材であっても、ランニング特有のリスクを避けるために口にしてはいけないものがあります。その筆頭が「生もの(刺身、生卵、生肉)」です。万が一の細菌感染や食中毒のリスクを完全に排除するため、前日の夕食は必ずしっかり火を通した加熱料理を選んでください。

さらに見落としがちなのが「過度な食物繊維」です。普段の健康維持には欠かせないごぼう、きのこ類、海藻類、さつまいも、生野菜サラダなどは、前日には控えめにしましょう。

不溶性食物繊維を過剰に摂取すると、腸内でガスが発生しやすくなるだけでなく、レース中の便意を強力に刺激してしまいます。また、キムチや唐辛子などの強い香辛料、アルコールも胃粘膜を荒らし脱水を促進するため、前日は完全に封印するのが鉄則です。

こまめな水分補給と電解質管理

前日の水分補給は、翌日の熱中症や脱水、そして激しい足のつりを防ぐための生命線です。前日の朝から就寝前までの間、喉の渇きを感じる前に、コップ1杯(150〜200ml程度)の水分を1〜2時間おきにこまめに摂取する「ウォーターローディング」を意識してください。

一気に1リットルなどの大量の水をがぶ飲みしても、身体は吸収しきれずに尿として排出されてしまい、かえって体内の電解質バランスを崩してしまいます。飲む飲料としては、常温の水や麦茶、あるいは塩分と糖質がバランスよく配合された経口補水液や薄めのスポーツドリンクが適しています。

カフェインを多く含むエナジードリンクや濃いコーヒーは強い利尿作用があるため、前日午後は控えめにしておくのが無難です。

前日の身体ケアと疲労回復法

前日の身体ケアと疲労回復法

「前日になって走らないと不安になる」「脚がなまる気がする」という恐怖心から、前日に何キロも走ってしまう初心者ランナーが後を絶ちません。

しかし、前日にできる最善のトレーニングは「徹底的に身体を休めること」に他なりません。筋肉の超微細な損傷を修復し、関節の可動域を確保するための正しいケアを施しましょう。

前日のランニング強度の目安

レース前日の練習は、心肺機能や筋力を高めるためのものではなく、あくまで「レースウェアの感触を確かめ、全身の血流を促すこと」だけが目的です。走る場合でも、距離は最大で2km〜3km程度、時間は15分〜20分以内の超スロージョギングにとどめてください。

息が一切上がらず、鼻呼吸だけで走れる極めてゆったりとしたペースを守りましょう。最後にフォームの連動性を確かめるために、7〜8割程度の力感で50m〜100mの「流し(ウィンドスプリント)」を2本ほど入れ、股関節をスムーズに動かしたら練習は終了です。

疲労感を1ミリも残さない状態で切り上げることが、翌日の軽やかな足取りを約束します。もちろん、前日は完全にランニングを休止して完全休養日に充てても全く問題ありません。

前日のやってはいけないNG行動

・不安だからと5km以上のペース走やタイムトライアルを行う
・慣れない強い力でのマッサージや整体を受けて揉み返しを起こす
・熱い風呂に長時間浸かって体力を消耗し、筋肉を弛緩させすぎる
・ショッピングモールを何時間も歩き回って足底やふくらはぎを疲れさせる

股関節と肩甲骨の静的ストレッチ

前夜のケアとして最も効果的なのは、怪我の発生源となりやすい関節まわりの柔軟性を高めるストレッチです。特に重点的にほぐしておきたいのが「股関節まわり(臀筋・腸腰筋)」と「肩甲骨まわり」の2箇所です。

骨盤が後傾して腰が落ちたフォームになると、着地衝撃が膝の外側(腸脛靭帯)や膝の内側下部(鵞足部)へ集中し、30km手前で激痛を引き起こします。仰向けになって膝を抱え、お尻の外側をじっくり伸ばすストレッチや、前後に大きく足を開いて股関節の前側を伸ばすストレッチを、呼吸を止めずに20秒〜30秒ずつ行いましょう。

また、肩甲骨を寄せて胸を開くストレッチをしておくと、走る際に肘をスムーズに後ろへ引けるようになり、体幹の推進力を無駄なく引き出すことができます。痛みを伴うほど無理に引っ張るのではなく、「心地よい伸び」を感じる程度でじんわり緩めるのがコツです。

入浴温度と睡眠環境の整え方

良質な睡眠は、あらゆるサプリメントを凌駕する最高のリカバリー手段です。深部体温をコントロールしてスムーズに入眠するために、入浴は就寝の約90分前までに済ませるように逆算してください。

お湯の温度は38度〜40度前後のぬるめに設定し、15分ほどゆったり浸かって全身の毛細血管を拡張させます。42度を超えるような熱いお湯に浸かると交感神経が刺激されて目が冴えてしまうだけでなく、長風呂によって発汗し体力を消耗してしまいます。

就寝前はスマートフォンのブルーライトを避け、部屋を暗くしてリラックスできる音楽や読書で過ごしましょう。たとえ緊張で眠れなかったとしても、「横になって目を閉じているだけで脳と身体の疲労は7割以上回復している」と気楽に構えることが、精神的な緊張を解く一番の特効薬です。

股擦れやマメを防ぐ皮膚保護対策

股擦れやマメを防ぐ皮膚保護対策

マラソンの過酷さは、筋肉や心肺機能の疲労だけにとどまりません。4万歩以上にも及ぶ着地と腕振りの繰り返しによって、皮膚とウェア、あるいは皮膚同士が激しく摩擦し、出血や水ぶくれ(マメ)という強烈な痛みに襲われるランナーが非常に多いのです。この物理的な皮膚トラブルは、前夜の事前ケアによってほぼ100%防ぐことができます。

ワセリンを塗布すべき重要部位

長時間の走行による摩擦創(皮膚の擦れ傷)を防ぐための最強の盾となるのが、白色ワセリンやスポーツ用の皮膚保護クリームです。汗や雨でも流れ落ちにくく、摩擦係数を劇的に下げてくれます。

特に擦れやすい以下の部位を前夜のうちに確認し、当日朝に塗り忘れがないよう洗面台やポーチの手前に準備しておきましょう。

  • 男性の乳首(ウェアの繊維との摩擦で擦り切れ、出血の原因になるため必須)
  • 脇の下および二の腕の内側(腕振りの反復によって擦れやすい箇所)
  • 股関節の内側・太ももの付け根(脚の運びによって内股同士やタイツと擦れる箇所)
  • 足の指の間、母指球、かかとまわり(靴内での摩擦による水ぶくれ防止)
  • ブラジャーのアンダーバストラインや擦れやすい縫い目付近

男性の場合は、乳首にワセリンを厚く塗るだけでなく、専用のランナー用ニップレスや丸型の絆創膏を上から貼っておくと、後半の激痛を完全に防ぐことができます。

足の爪の切り方とテーピング

前日に意外と見落としがちな盲点が「足の爪の長さ」です。爪が少しでも伸びていると、下り坂や着地のたびにシューズのトゥボックス(先端部分)の内側に爪が当たり、爪下血腫(爪の下で内出血を起こして真っ黒に変色する状態)や激しい痛みを引き起こします。

逆に、前日に深爪になるまで短く切り込んでしまうと、皮膚が露出して歩くだけで痛む原因になります。

爪は角を落としすぎず、スクエアオフ(四角い形状)に近い形で、指の先端と同じくらいの長さに整えるのが理想です。ヤスリを使って切り口の引っかかりを滑らかにしておきましょう。

また、過去の練習で足裏のアーチが低下して足底筋膜炎のようなかかとの痛みを感じたことがある方や、外反母趾の傾向がある方は、アーチを吊り上げて保護するキネシオロジーテープを前夜のうちに準備しておくことを強くおすすめします。

◆ワンポイントアドバイス

私の初マラソンでは、30km地点で足が止まっただけでなく、胸元が血で真っ赤に染まるという大惨事を経験しました。ウェアの擦れによる乳首の出血です。

あのヒリヒリとした激痛は、お風呂に入るときに叫び声をあげるほど強烈でした。絆創膏1枚、ワセリンひと塗りで確実に防げる怪我ですから、事前の対策を絶対に怠らないでくださいね。

当日朝を想定した逆算タイムライン

当日朝を想定した逆算タイムライン

レース当日の朝は、想像を超える混雑と慌ただしさに見舞われます。会場周辺の駅は改札を出るだけで長蛇の列ができ、更衣室や荷物預け、そして仮設トイレは30分以上の待ち時間が発生するのが当たり前です。

当日のタイムスケジュールをスタート時刻から逆算し、前日のうちに頭の中でシミュレーションしておきましょう。

スタート4時間前からの行動計画

一般的な午前9時スタートのフルマラソン大会を想定した場合、理想的な当日の時系列タイムラインは以下のようになります。体内時計を覚醒させ、消化器系と循環器系を運動状態へ適応させるために、スタートの4時間前には起床するのがベストです。

時間(9時号砲基準)行動内容重要ポイントと注意事項
午前5:00(4時間前)起床・熱めシャワー熱いシャワーで交感神経を刺激。体力を消耗するため湯船は避ける。
午前6:00(3時間前)朝食完了・水分補給おにぎりやカステラなど糖質200〜300kcal。胃を空にして走る準備。
午前7:00(2時間前)会場到着・更衣駅の混雑を想定し早めに到着。ウェアに着替えワセリンを塗布。
午前8:00(1時間前)荷物預け・トイレ整列荷物締め切り直前は大混雑。仮設トイレの長い列に早めに並ぶ。
午前8:30(30分前)整列完了・アミノ酸摂取ポンチョで冷えを防ぎ待機。直前の高糖質はインスリンショックに注意。
午前9:00(号砲)スタートライン通過周囲に流されず最序盤はウォーミングアップ感覚で超ゆっくり走る。

完走目標が5時間〜6時間台の初心者ランナーの場合、スタート前に何キロもジョギングするような本格的なウォーミングアップは一切不要です。貴重な筋グリコーゲンを無駄に浪費してしまうだけなので、会場での軽い動的ストレッチや足首回し程度で十分であることを覚えておいてください。

交通ルートと受付締切の再確認

前夜のうちに、自宅から会場までの乗り換えルートと最寄り駅の出口、さらには電車の遅延情報まで想定した複数の移動手段を調べておきましょう。数万人規模の都市型マラソンでは、最寄り駅のホームから改札を出るまでに20分以上かかるケースも珍しくありません。

「会場に何時に着けば間に合うか」ではなく、「荷物預けの締め切り時刻」「スタートブロックの閉鎖時刻」を基準に行動計画を立ててください。

スタートブロックの閉鎖時刻(多くの大会でスタートの15〜20分前)に1分でも遅れると、本来の指定ブロックに関係なく最後尾ブロックからのスタートを命じられ、大幅なロスタイムと関門閉鎖の危機に直面することになります。電車の切符を当日買う手間を省くため、交通系ICカードへの十分なチャージや小銭の用意も前日のうちに済ませておきましょう。

フルマラソンの前日準備に関するよくある質問(FAQ)

Q1. 前日の夜に緊張して全く眠れないときはどうすればいいですか?

A. 眠れなくても全く焦る必要はありません。横になって目を閉じ、深呼吸を繰り返しているだけで、筋肉や内臓の疲労は7割以上回復すると言われています。「一晩くらい寝られなくても死にはしない」と開き直ることが大切です。実際、多くのベテランランナーも前夜は興奮で浅い眠りになりがちですが、本番ではアドレナリンが出るため問題なく走りきれますよ。

Q2. 前日の夕食でお腹いっぱい炭水化物を食べたほうが完走しやすいですか?

A. 満腹になるまで詰め込むのは逆効果です。胃の中に未消化の食べ物が残ったまま走ると、レース中に激しい胃もたれや腹痛、差し込み痛を引き起こします。食事の「総量」を増やすのではなく、おかずを減らしてうどんやおにぎりなど主食の「比率」を高め、腹八分目で抑えて早めに就寝するのが最も確実なエネルギー充填法です。

Q3. 前日に銭湯や温泉でサウナに入ってリフレッシュしてもいいですか?

A. 前日のサウナや長時間の熱い入浴は絶対に避けてください。大量の汗をかくことで貴重な水分と電解質が失われ、隠れ脱水状態に陥って翌日の足のつりを誘発します。また、長湯は体力を著しく消耗させ、筋肉を弛緩させすぎて走りのバネを奪ってしまいます。ぬるめのお湯に15分程度浸かるだけにとどめましょう。

Q4. 前日の練習は完全に休むのと軽く走るのとではどちらが良いですか?

A. 初心者の場合は「完全休養」でも全く問題ありません。もし脚の重さが気になるようであれば、15分〜20分程度(2km前後)の息が乱れない超スロージョギングを行い、血流を促す程度にとどめてください。前日に走って走力が上がることは絶対にありません。疲労を完全に抜き去ることだけを最優先に考えましょう。

Q5. レース当日の朝食はスタートの何時間前までに食べ終えるべきですか?

A. スタートの3時間前までに食べ終えるのが鉄則です。胃の中の食べ物が消化・吸収され、血液中のエネルギーとして最も効率よく利用できるようになるまでに約3時間を要するためです。スタート直前の30〜45分前に大福や高糖質ゼリーを一気に食べると、急激な血糖値上昇の反動で低血糖(インスリンショック)を起こし体が重くなる恐れがあるため注意してください。

万全の前日準備で笑顔のフィニッシュへ

フルマラソンは、42.195kmという果てしない距離を自分の足だけで進む、過酷でありながら人生で最も感動的な挑戦のひとつです。初マラソンで大失敗を経験した私だからこそ、あなたにはあの地獄のような苦しみや悔しさを味わってほしくありません。

どれほど厳しいトレーニングを積み重ねてきたとしても、前日のたったひとつの忘れ物や、前夜の油っこい食事、睡眠不足、そして無理な悪あがきの練習によって、その努力が一瞬で水泡に帰してしまうのがマラソンの怖さです。

しかし逆に言えば、「前日にやるべきこと」を丁寧にひとつずつ実行し、万全の体調でスタートラインに立つことさえできれば、初心者であっても怪我なく笑顔で完走を果たすことは十分に可能です。

装備の最終点検を終えたら、あとはこれまでの自分の歩んできた道のりを信じて、心と身体を静かに休めてあげてください。明日の朝、号砲とともにあなたが軽やかな一歩を踏み出し、最高の達成感とともにフィニッシュゲートを笑顔で駆け抜けることを、心から応援しています。

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